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■甲状腺の悪性腫瘍について(その3)

発行月:2008年03月

甲状腺がんの治療について

甲状腺の悪性腫瘍について(その3)
伊藤病院 外科医長 北川 亘

 今回は甲状腺がんの治療についてお話したいと思います。
 甲状腺がんの治療には、手術、放射性ヨード(アイソトープ)治療、放射線外照射療法、薬物療法(抗がん剤治療)がありますが、悪性リンパ腫を除き手術で病変部を切除することが基本的な治療法です。

■甲状腺がんの手術について
 甲状腺がんの手術は大きく分けて
  ①甲状腺をどこまで切除するか
  ②周囲のリンパ節をどこまで摘出するか(頚部リンパ節郭清術)
 に分けられます。

 甲状腺を切除する範囲からは全摘・準全摘・亜全摘・葉切除に分けられます。

  「全 摘」・・・甲状腺全部を切除する

  「準全摘」・・・甲状腺をわずかに残し、ほとんど全部切除する

  「亜全摘」・・・甲状腺を約2/3以上切除する

  「葉切除」・・・甲状腺の半分を切除する

 リンパ節の切除範囲は大きく分けて
  ①甲状腺周囲のリンパ節のみを摘出する方法
  ②頚部外側の血管に沿ったリンパ節まで摘出する方法
 があります。

 病気の広がり具合によって甲状腺を切除する範囲やリンパ節を摘出する範囲が変わってきます。通常甲状腺を亜全摘〜全摘すると術後甲状腺ホルモン剤の内服が必要になります。手術での後遺症は少ないですが、なかにはがんの浸潤具合が強く反回神経を巻き込んでいて、がんとともに反回神経を切除しなければならない場合もあります。この場合、声がかれたり呼吸に支障が生じることがあります。また手術後、手指のしびれが出現する場合があります。病気の広がり具合は手術前の検査で概ね推測できますが、最終的には手術中の所見によって判断されます。どのような手術の仕方を選ぶかは、入院前の術前外来で説明があります。


■遠隔転移がある場合
 甲状腺がんはまれですが、肺や骨に転移することがあります。甲状腺乳頭がんや濾胞がんの場合は甲状腺濾胞細胞ががん化したものなので、ヨードをとりこむ性質が残っています。腫瘍細胞が肺などに転移した場合、このヨードをとりこむ性質が残っていることがあり、放射性ヨード(アイソトープ)治療を行います(写真)。この場合、甲状腺が残っているとアイソトープのほとんどが甲状腺に取り込まれてしまうので、甲状腺を全摘した後にアイソトープ治療をすることになります。
 悪性リンパ腫は、手術で組織の一部を切除し、診断を確定したあとに放射線外照射療法や薬物療法を行います。進行の早い未分化がんは、手術、放射線外照射療法、薬物療法を組み合わせて治療を行っています。
 甲状腺がんのなかには、手術後の経過観察中にがんの再発が認められることがあります。再発はリンパ節や残した甲状腺に認められます。ほとんどの甲状腺がんは急速に悪化することはありませんので、再発した場合は再発した部位を切除することが基本の治療となります。

※写真はアイソトープ大量治療のものです。放射性ヨードが肺の転移部に取り込まれて黒く写っています。
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