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■甲状腺の悪性腫瘍について(その2)

発行月:2007年12月

甲状腺腫瘍の診断について

甲状腺の悪性腫瘍について(その2)
伊藤病院外科医長 北川 亘

 甲状腺腫瘍の中には良性のものと悪性のものがあります。このためしこり(結節)が良性であるか悪性(がん)であるかを区別(鑑別)することが最も重要になります。今回はその鑑別のために必要な検査とがんと診断された方が手術前に行う検査についてご説明します(表)。

- 当院では主に超音波検査とエコーガイド下穿刺吸引細胞診(エコーガイドかせんしきゅういんさいぼうしん)で診断をつけています。 -

1. 超音波検査(エコー検査)
 超音波検査は、検査部位に超音波をあてその反射波を画像化して調べる検査です。ゼリーを塗ったプローブを体表に滑らしながら検査しますので、痛みやかゆみなどはありません。また放射線を用いないので被爆もなく、極めて安全な検査です。ですから妊娠中、授乳中の方でも問題なく検査することができます。検査時間は5~10分程度で、この検査で甲状腺のいろいろな情報が得られます。しこりがひとつなのか多数あるのか、大きさはどのぐらいか、リンパ節は腫れていないか等、重要なことがわかります。ただ、形態的にがんらしいかどうかは判断できますが、細胞の状態まではわかりません。このため直接細胞をとってがんかどうか判断することが必要になります。

2. エコーガイド下細胞診(エコーガイド下穿刺吸引細胞診)
 甲状腺のしこりにピンポイントで細い針を刺して細胞を取り、顕微鏡で細胞の性質を観察し、がんでないか診断をつける検査です。当院ではすべての方に超音波画像を見ながら行いますので、大事な血管などを避けながら小さなしこりでも安全に細胞をとることができます。この検査は外来ででき、また4~5分の検査で危険はありません。採血とほぼ同じ細い針を使用しますので、痛みは軽度です。

- 超音波検査、穿刺吸引細胞診で甲状腺がんの診断がつくと
手術に向けていくつかの検査が必要になります。 -

1. 頚部CT(コンピュータ断層撮影)検査
 超音波検査では判断しにくい気管の後方や腫瘍の進展範囲や周囲臓器との位置関係をみる検査です。どこまで手術で切除するかなど手術の範囲を決める重要な検査のひとつです。この検査の結果によっては、さらに気管や食道の検査などが必要になることがあります。

2. 胸部CT検査
 甲状腺がんは遠くの臓器には飛びにくいですが、まれに肺や骨に転移することがあるため、手術前に胸部CT検査をして肺に異常がないか調べます。また肺に転移があると、手術のしかた(術式)が変わる場合があります。
 また、シンチグラフィ検査をする場合があります。この検査は体内に放射線を放出するアイソトープを含んだくすりを投与し、その分布を調べる検査です。
 骨に転移がないか調べる骨シンチグラフィ検査や甲状腺未分化癌や悪性リンパ腫の診断の手助けになるガリウムシンチグラフィ検査などがあります。
 CT検査はX線を、シンチグラフィ検査は放射性同位元素を用いる検査なので妊娠中、授乳中の方は主治医にご相談ください。
このようにいろいろな検査を行い、安全に手術ができるようにします。
次回は甲状腺がんの治療についてお話したいと思います。

表) 甲状腺悪性腫瘍に対する検査
○甲状腺腫瘍に対する基本的な検査
 検査名称:超音波検査
 検査目的(検査でわかること):しこりの形・数・大きさ、リンパ節の腫れがあるかどうか

 検査名称:エコ-ガイド下穿刺吸引細胞診
 検査目的:腫瘍細胞が良性か悪性か

○甲状腺癌の診断後、手術前に行う検査
 検査名称:頚部CT検査
 検査目的:腫瘍の進展範囲、周囲臓器との位置関係

 検査名称:胸部CT検査
 検査目的:肺の異常の有無

 検査名称:シンチグラフィ検査(必要な場合に行う)
 検査目的:骨転移の有無、悪性リンパ腫の診断など


※写真
上は超音波検査風景
下は頚部CT写真。甲状腺の左葉から峡部にかけて石灰化を伴う甲状腺乳頭癌が認められる。
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