高額療養費制度とは
何らかの公的医療保険(国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、後期高齢者医療制度など)に加入されている方は、病院に受診された際のお支払いについては、「1割」「2割」「3割」といった一定割合の自己負担金のみで済んでいると思います。
しかし、入院した場合や高額な医薬品が必要となった場合には、たとえ3割負担の方であっても、窓口でのお支払い額が高額になってしまいます。そのような時のために、お支払い額に一定の上限を設定し、それを超える分についてはご加入の公的医療保険が負担する制度(高額療養費制度)が設けられております。
なお、高額療養費の支給を受けるにあたって、以下要件にご注意ください。
・個室ベッド代や文書料、食事負担金は対象外
・月単位で適用(2ヶ月にまたぐような入院では「月ごと」に計算)
お手続き/問い合わせ先について
マイナンバーカードを健康保険証として利用される場合は、申請等の必要なく制度が適用されます
従来の保険証をご利用の場合
ご本人の同意があれば、高額療養費における限度額適用認定証等情報をオンライン資格確認システムで取得できるので、事前の手続きが不要になります。
※なお、新しい保険証の取得直後や保険者によっては、まれにオンライン資格確認システムで情報が取得できない場合があります。
その際はご自身での申請及び病院への限度額適用認定証の提示が必要となります。
申請には下記の2つの方法があります。どちらでも、支給額に差はありません。
■ ※ 受診前・入院前にお手続きを行う場合
- ■ 加入する公的医療保険から「認定証」の発行を受けてください
- ■ 病院窓口に「認定書」をご提示ください
- ・病院窓口でのお支払いを負担上限額までに留めることができます
- ・高額療養費が病院へ直接支払われるため、事後申請の手間が省けます
- ・暦月合算が必要となった時など、改めてお手続が必要な場合があります
■ ※ 受診後・入院後にお手続きを行う場合
- ■ 病院窓口では通常通りの負担割合にてお支払いください
- ■ 後日、加入する公的医療保険より高額療養費の支給を受けてください
- ・事前のお手続きに都合がつかない場合でも後日申請が可能です
-
・高額療養費が支給されるまでに半年程度時間を要する場合があります
(レセプト審査確定までは支給が行われないため)
※ 主な公的医療保険のお手続き/お問い合わせ先
協会けんぽ | 全国健康保険協会の各都道府県支部 |
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健保組合 | お勤め先の健康保険組合の担当窓口 |
共済組合 | 各共済組合の担当窓口 |
国民健康保険 | 各市区町村の担当窓口 |
後期高齢者医療制度 |
各都道府県の後期高齢者医療広域連合の窓口 および、各市区町村の後期高齢者医療制度の担当窓口 |
自己負担限度額について
(1)70歳未満の方の自己負担限度額
月あたりの負担上限額は、年齢や所得によって異なります。70歳未満の方については、所得水準によって5つの区分が設けられており、それぞれで「ひと月あたりの負担上限額」が異なります。
所得区分 | ひと月あたりの負担上限額 |
---|---|
年収 約1,160万円 ~
健保:標準報酬月額83万円以上 国保:年間所得901万円超 |
252,600円+(医療費 - 842,000円)×1% <多数回該当 140,100円> |
年収 約770 ~ 約1,160万円
健保:標準報酬月額53万~79万円 国保:年間所得600万円超901万円以下 |
167,400円+(医療費 - 558,000円)×1% <多数回該当 93,000円> |
年収 約370 ~ 約770万円
健保:標準報酬月額28万~50万円 国保:年間所得210万円超600万円以下 |
80,100円+(医療費 - 267,000円)×1% <多数回該当 44,400円> |
年収 ~ 約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下 国保:年間所得210万円以下 |
57,600円 <多数回該当 44,400円> |
住民税非課税の方 | 35,400円 <多数回該当 24,600円> |
※
食事負担額、各種文書料、差額ベッド料等は負担上限額に含まれません。
※
一つの病院でのお支払いでは上限を超えない時でも、同じ月に別の病院でお支払いになった分を合算できる場合があります。このようなケースでは、後日保険者より償還されることになりますので、詳しくはご加入の公的医療保険窓口までお問い合わせください。
(2)70歳以上の方の自己負担限度額
70歳未満の方と同様、月あたりの負担上限額は、年齢や所得によって異なります。また、外来だけの上限額も設けられております。
所得区分 | ひと月あたりの負担上限額 | ||
---|---|---|---|
外来 (個人ごと) |
(世帯ごと) | ||
現役並み所得 |
年収 約1,160万円 ~
健保:標準報酬月額83万円以上 国保:課税所得690万円以上 |
252,600円 +(医療費 - 842,000円)× 1% <多数回該当 140,100円> |
|
年収 約770万 ~ 約1,160万円
健保:標準報酬月額53万円以上 国保:課税所得380万円以上 |
167,400円 +(医療費 - 558,000円)× 1% <多数回該当 93,000円> |
||
年収 約370万 ~ 約770万円
健保:標準報酬月額28万円以上 国保:課税所得145万円以上 |
80,100円 +(医療費 - 267,000円)× 1% <多数回該当 44,400円> |
||
一般 |
年収 156万 ~ 約370万円
健保:標準報酬月額26 万円以下 国保:課税所得145万円未満 |
18,000円 (年間上限 14.4万円) |
57,600円 <多数回該当 44,400円> |
住民税非課税 | Ⅱ(Ⅰ以外の方) | 8,000円 | 24,600円 |
Ⅰ(年金収入80万円以下など) | 15,000円 |
※
食事負担額、各種文書料、差額ベッド料等は負担上限額に含まれません。
※
一つの病院でのお支払いでは上限を超えない時でも、同じ月に別の病院でお支払いになった分を合算できる場合があります。このようなケースでは、後日保険者より償還されることになりますので、詳しくはご加入の公的医療保険窓口までお問い合わせください。
負担軽減の更なる仕組み
高額療養費制度では、「多数回該当」や「世帯合算」といった仕組みにより、更に自己負担額が軽減される場合があります。このようなケースでは、別途お手続が必要であったり、保険者からの後日償還となったりしますので、詳しくはご加入の公的医療保険窓口までお問い合わせください。
- < 多数回該当 >
- 過去12ヶ月以内に3回以上、上限額に達した場合には、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。(多数回該当の適用がない方もいらっしゃいます)
- < 世帯合算 >
-
お一人の1回分の窓口負担では、高額療養費の支給対象とはならなくても、「複数の受診」や「同一世帯の方の受診(ただし同じ医療保険に加入されている方に限る)」について、窓口でそれぞれお支払いになった自己負担額を1ヶ月単位で合算することができます。その合計額が一定額を超えた場合、超えた分が高額療養費として支給されます。
ただし、合算要件が設けられている場合がございますので、詳しくはご加入の公的医療保険窓口までご確認ください。
高額療養費制度についてのQ&Aをこちらの「よくあるご質問」に掲載しています。