血液検査
当院での採血は検査に精通している臨床検査技師と採血管準備システムにより行なっています。また、主要な検査は採血後約1時間で結果を出すことが出来ますので、再診患者様に対し必要に応じて診察前に採血を実施する「診察前検査」を導入し、当日の検査結果に基づいて診察を行なっています。(検査項目によっては当日結果をお渡しできない場合もありますのでご了承ください)
当院では標準採血法ガイドラインを遵守し採血を行っておりますが、より安全に採血を受けていただくために、下記の「採血についてのご説明」をご覧ください。
(PDFで掲載しています)
採血についてのご説明
検査項目と基準範囲
各検査項目の基準範囲は伊藤病院独自の設定もありますので、他施設とは多少異なる場合があります。
採血室のご案内
場所 : 1階 検査21来院受付時に発券された受付番号がモニターに表示されるまでお待ちください。モニターに番号が表示されましたら、採血室内にお入り下さい。
※初診の方は、検査結果は後日となります。
※再診の方で診察前検査を受けられる方は、午後4:00までに受付されますと、検査結果(一部を除く)を診察時にお出しすることができます。受付後、すぐに検査21へおすすみください。
採血時間
午前8:00~外来終了まで採血は最大12名の臨床検査技師が行っています。
診察前検査の場合は、採血後約1時間で結果をお出ししていますが、診察室にお呼びできる時間は、混雑状況や診察室により異なりますのでご了承ください。
検査方法について
臨床検査室では大型の検査機器や顕微鏡を用いてさまざまな検査を行っています。
血液や尿を用いて行うさまざまな検査の目的は、患者様の体の状態を間接的に調べることです。検査結果は、あくまでも診療におけるひとつの判断材料であり、検査数値だけですべてが判断されるということではありません。
なお、甲状腺の機能を間接的に調べる目的では、主にFT3、FT4、TSHを測定し、その他の検査も含め総合的に判断されます。
その他の検査
上記のほか、必要に応じて検査項目を追加します。
採血時のお願い
- 採血時には針を刺す痛みは多少ありますが、しびれや違和感などありましたらすぐにお申し出ください。
- 採血後は止血テープを貼らせていただきますが、採血部位から血液が出てきますので、採血後はすぐに指で採血部を5分程度しっかり押さえていただくようお願いします。その際、衣服に血液がつかないようご注意ください。
- 採血部位を揉むと内出血することがありますので、揉まないようお願いします。
-
使用後の止血テープ・止血綿は感染性廃棄物となります。必ず院内の下記のマークのあるごみ箱に捨てていただくよう、お願いします。
血液検査についてのQ&Aを「よくあるご質問」に掲載しています。
超音波検査(エコー)
超音波(エコー)とは、人間の耳には聞こえないほどの高い音程(周波数)の音と定義される音波です。
この超音波を調べたい部位に向けて発信させ、その反射波をコンピューターで処理し、画像化して見るのが超音波検査(エコー)です。
超音波検査室のご案内
場所 : 地下1階 検査22 来院受付時に発券された受付番号がモニターに表示されるまでお待ちください。呼び出しモニターの左上の番号の方から順番にお呼びいたします。
※診察前検査を受けられる方は、午後4:00までに受付されますと、検査結果(一部を除く)を診察時にお出しすることができます。
検査時間
午前8:15~外来終了まで。超音波検査(エコー)は最大11台の検査機器で実施しています。
検査方法について
甲状腺超音波検査(エコー)
甲状腺の大きさ、腫瘍病変の位置や大きさ・性状などを調べます。
検査は、検査用の椅子に座っていただき、背もたれを少し倒した状態で首に検査用ゼリーをつけて行います。首全体を観察し、何枚かの写真を撮影して終了になります。
検査時間は首の状態によって異なりますが、5~10分程度で終了します。
甲状腺カラードプラー検査
目的とする部分の血流の状態を調べます。
検査時間は20分程度で終了します。
腹部超音波検査(エコー)
各臓器に病変がないかを調べます。
検査は、上半身の衣服を脱いでいただき、腹部に検査用ゼリーをつけて行います。
検査時間は20~30分程度で終了します。
【備考】
- 診察前に行った超音波検査(エコー)の検査結果は電子カルテに転送され、医師が診察時に電子カルテ上で確認します。
- 超音波検査(エコー)は、人体に影響を及ぼす検査ではありませんので、繰り返しお受けいただいても安心です。また妊娠されている患者様でも安心して受けていただけます。
検査時のお願い
- 甲状腺超音波検査(エコー)は首全体に検査用ゼリーをつけておこないますので、できれば前開き、あるいは首周りがあいた服装で来院していただけるようお願いします。
- なお、検査時にはネックレス・ネクタイ・湿布なども外していただきますのでご了承ください。
-
腹部超音波検査(エコー)は絶食空腹時に行いますので、朝食は控えていただくようお願いしています。
ただし、お薬が処方されている患者様は、事前に医師にその旨をお伝えください。
超音波検査についてのQ&Aを「よくあるご質問」に掲載しています。
生理機能検査
心電図・ホルター心電図(24時間記録心電図)・心エコー(心臓超音波検査)・呼吸機能検査を行っています。
生理機能検査室のご案内
心電図・ホルター心電図・心臓超音波(エコー)検査・呼吸機能検査
場所 : 地下1階 検査22
順番に番号をお呼びいたしますので、検査室前でそのままお待ちください。
※モニターに番号は表示されません。
心エコー(心臓超音波検査)・児心音検査
場所 : 2階 診察室11 予約検査です。予約のお時間になりましたらご案内致いたします。30分前後検査にお時間がかかりますので、事前にお手洗いをすませて、診察室11の前でお待ち下さい。
検査時間
午前8:15~外来終了まで
検査方法について
心電図検査
心臓の血液を送り出すリズムの異常(不整脈)や、心臓の細胞に異常が起きていないか(虚血性心疾患)などを調べます。両手・両足と胸部の6箇所に電極をつけ、心臓に流れる微弱な電流を検知してその波形を記録する検査です。
検査時は上半身裸になり、手首・足首が見えるようにお支度して頂きます。
検査は5分程度で終了します。
※心電図は微弱な電流を検知しますので、体に力を入れたり動いたりすると心電図に影響が出てしまい、再検査となる場合があります。検査はリラックスしてお受けください。
ホルター心電図検査
ホルター心電図は、日常生活中の心電図を24時間記録できる検査法です。小型の携帯用検査機器を装着した状態で日常生活を送っていただきますが、通常の生活の妨げにはなりません。この検査を行なう場合は、検査機器の装着および説明を含めて15分程度お時間をいただきます。(24時間経過後、検査機器を外しにご来院頂くか、ご自身で外し病院へ届けて頂く必要がございます。)
※ホルター心電図を装着中でも入浴は可能となっていますが、入浴剤入りのお風呂にはお入りいただけません。また電極や機器は写真のように装着いたします。記録ボタンを洋服の外に出す必要がありますので、上下分かれている服装でご来院ください。
※鎖骨に電極を貼るため襟元から電極が見える場合があります。
心臓超音波検査(エコー)
肋骨の間から心臓に向けて超音波を発信し、その反射波をコンピューター画像処理して直接心臓の動きを調べる検査です。検査時間は30分程度で終了します。
呼吸機能検査
呼吸機能に異常がないかを調べる検査です。
検査時間は10~20分程度で終了します。
エコー下穿刺吸引細胞診
超音波(エコー)下穿刺吸引細胞診は、超音波による画像を見ながら直接その細胞を採って調べる検査です。近年では超音波機器の進歩により、触診ではなかなか触れることのできない小さな腫瘍を発見できるようになってきています。
検査室のご案内
場所 : 2階 診察室10
検査時間等
検査は予約制になっています。予約時に予約用紙をお渡ししてご説明します。
検査方法について
ベッドに仰向けになっていただき、超音波機器のプローブ(探触子)を頚部にあてながら検査を行います。採血針と同じ程度の太さの針を使用し、超音波の画像を見ながら針先をすすめ、細胞を採取します。
検査時間は通常5分程度です。
エコー下穿刺吸引細胞診についてのQ&Aを「よくあるご質問」に掲載しています。
病理検査
病理検査室では、検査で採取された細胞や手術で切除された臓器などを顕微鏡で診断するための標本作製を行っています。完成した標本は病理医により診断されます。
検査方法について
細胞診
甲状腺の腫瘍やリンパ節からから細胞を採取し、その細胞を顕微鏡で調べ、推定診断(良性か悪性か)を行います。
組織診
手術で切除された臓器は、そのままでは顕微鏡で調べることが困難であるため、2~3μm程度に薄く切り組織標本を作製します。この組織標本から診断し、治療方針の決定・治療効果の判定などを行います。
遺伝子検査
遺伝子検査について
遺伝子検査とは、感染症などの原因となる細菌やウイルス遺伝子の有無を調べる病原体遺伝子検査、正常の細胞には認められず病気の細胞にだけ生じた遺伝子の変化を調べる体細胞遺伝子検査、生まれつき持っている遺伝子の型を調べる遺伝学的検査の3つに分類されます。臨床検査室では、遺伝学的検査を実施しており、RET遺伝子変異解析を行っています。
甲状腺髄様がんは、遺伝性と散発性(非遺伝性)に分けられます。甲状腺髄様がんの約1/4~1/3は遺伝性であると言われており、遺伝性かどうかは、RET遺伝子を調べることで分かります。
検査方法について
臨床検査室では、「血液からのDNA抽出」「目的遺伝子の増幅」「遺伝子解析」3つの工程を経て、遺伝子変異があるか確認しています。
CT検査
検査方法について
検査の前には放射線の被ばくについての資料を読んでいただき、検査室に入室したら資料の説明をさせていただきます。撮影の際には、寝台(ベッド)に寝た状態で装置の中に入り検査を行います。検査時間は通常の検査(頚部・胸部)であれば、着替えを含めて5~10分程度で終わります。造影剤(※)を使用した検査だと15~20分程度かかります。
当院での主な検査(撮影)部位は、頚部(甲状腺)、胸部です。以下で、その代表的な2例をご説明します。
頚部(甲状腺)の検査
超音波検査では探りにくい部分、また甲状腺のまわりの臓器や血管がどのような位置関係であるかを把握するために行います。ここで撮影されたものは診断だけではなく、手術する際にどのように進めるかという地図のような役割もしています。 また、手術後再発の検査目的に行うことがあります。
胸部の検査
甲状腺の悪性腫瘍の多くは、進行がきわめて遅い「おとなしい」がんとはいわれていますが、発病後に肺に転移することもあります。そのため手術前に肺への転移の有無の確認を行う精密検査が主となります。また手術後に期間を置いて、転移がないことを確認するためにも行います。
(※)造影剤について
検査する部位(臓器)をより詳しく調べる目的で使用する薬剤です。造影剤(非イオン性ヨウ素造影剤)を静脈から注入すると血流にのって全身へと運ばれていきます。造影剤が流れる部分、すなわち血流のある部分は白く映ります。特に甲状腺の周囲は細かな血管やリンパ節が複雑に位置しているため、その位置関係を把握するためのとても有用な薬です。
検査時のお願い
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方は事前にお知らせください。
- 撮影部位に金属類があると、画像の質が低下し診断の妨げになる可能性がありますので外していただきます。また、必要に応じて検査着に着替えていただきます。
- 造影剤の使用にあたって下記の事項に該当される方は使用できないこともあります。そのため診察時だけでなく、検査室においても確認しますのでご了承ください。
アレルギーのある方、喘息のある方、以前に造影剤を使用し体調を崩したことがある方、心疾患、腎疾患、造影剤使用後の48時間授乳の中止ができない方、糖尿病の治療薬を飲んでいる方。
CT検査についてのQ&Aを 「よくあるご質問」 に掲載しています。
X線検査
一般撮影とはいわゆるレントゲン撮影のことです。X線を使って、胸部や腹部、骨、軟部組織を撮影し、その状態を観察します。
検査方法について
検査時間はお着替えを含めて5~10分程度で終わります。
当院ではFPD(フラットパネルディテクタ:検出器)を使用したX線装置で撮影を行っています。
FPDを使用することで、短時間で撮影した画像データを表示することができるため、患者様の待ち時間の短縮につながっています。
また、撮影した画像はデジタル画像のため、撮影後に濃度やコントラストを自在に変化させ、画像を見やすく調節することが可能です。さらに保存、伝達も容易になるため、院内のどの電子カルテ上でも撮影後すぐに画像を確認することができます。
検査時のお願い
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方は事前にお知らせください。
- 撮影部位に金属やプラスチック製品、厚手の衣服などがあると、それが写り込む場合があります。診断の妨げになる可能性がありますので、必要に応じて検査着に着替えていただきます。
- 腹部の撮影を行う方で、1ヶ月以内にバリウムの検査を行った方は事前にお知らせください。
X線検査についてのQ&Aを 「よくあるご質問」 に掲載しています。
骨密度(骨塩定量)検査
骨密度検査は骨粗しょう症の診断をするために行います。
骨を構成しているカルシウム、リン、マグネシウムなど(骨塩)の量を測定することで骨量の減少を早期に発見し、骨粗しょう症の適切な予防や治療を行うことができます。
骨は髪の毛や皮膚と同じように常に新陳代謝を繰り返していて、古くてもろくなった骨の一部を壊して(骨吸収)、新しい骨に作り替えています
(骨形成)
。骨量の減少は「骨吸収」と「骨形成」のバランスが崩れることが原因となって起こります。
甲状腺疾患と骨粗しょう症の関係ですが、バセドウ病など甲状腺機能亢進症によって甲状腺ホルモンの高い状態が続くと、その甲状腺ホルモンの働きにより骨吸収が進み、骨粗しょう症をきたしやすいといわれています。また副甲状腺機能亢進症でも骨粗しょう症になります。副甲状腺から分泌されるホルモンは血液中のカルシウム濃度を一定にする役割があります。このホルモンが過剰に分泌されることにより血液中のカルシウム濃度が濃くなりその分、骨の密度が低くなり骨粗しょう症をきたしやすいといわれています。 また閉経後の女性で骨粗しょう症が多いのは、女性ホルモンの減少により骨吸収が進むことが原因といわれています。
検査方法について
当院ではDEXA(Dual-Energy X-ray
Absorptiometry)法で検査を行っています。
DEXA法は2種類の異なるエネルギーのX線を照射して、骨と軟部組織(内臓や脂肪など)の吸収の差を利用して骨密度を測定します。
検査は腰椎、両大腿骨、左前腕の3ヶ所の骨密度を測定し、検査時間は着替えを含めて15分程度で終わります。検査中はベッドに寝て体をなるべく大きく動かさないようにしていただきます。
検査結果は印刷して患者様のお控えとして渡しています。複数回検査をしている際には今回までの骨密度の推移がわかるようになっています。
検査時のお願い
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方は事前にお知らせください。
- 撮影部位に金属やプラスチック製品、厚手の衣服などがあると、それが写り込む場合があります。診断の妨げになる可能性がありますので、必要に応じて検査着に着替えていただきます。また、前腕にある装飾品は外していただきます。
- 1ヶ月以内にバリウムの検査を行った方は事前にお知らせください。
骨密度検査についてのQ&Aを 「よくあるご質問」 に掲載しています。
アイソトープ検査
アイソトープ検査とは、微量の放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)を含む薬を静脈注射する、またはカプセルを服用することで、薬が目的臓器に集積し、その薬から放出される微量な放射線を専用の装置(ガンマカメラ)で検出し臓器や組織の大きさ、機能、位置、形態などが調べられます。この検査をシンチグラフィと呼び、これによって得られた画像をシンチグラムと呼びます。また、検出器を体の中心を軸に回転させ多方向の画像を収集しコンピュータによって再構成し、断面画像上の放射性同位元素の分布画像として表すSPECT検査も行っています。さらに有益な情報を得るためにSPECT画像とCT画像を重ね合わせて得られるFusion画像の作成も行っています。
アイソトープ検査を予定されている方には事前に放射線の被ばくについての資料を読んでいただき、放射線技師より、資料の説明と当日の検査の流れについて説明させていただきます。
放射性ヨウ素(123I)甲状腺検査
食事などにより体内に入ったヨウ素は甲状腺に集まり、甲状腺ホルモンの合成に利用されます。また、放射性ヨウ素も食物から摂るヨウ素と同じように甲状腺に取り込まれます。その特性を利用したのが、放射性ヨウ素甲状腺検査です。
検査の目的
- 甲状腺摂取率(甲状腺がどのくらいの量の放射性ヨウ素を取り込んだか)による甲状腺機能検査
- シンチグラム(画像)による甲状腺疾患の診断
検査の流れ
通常、2日間の連続通院が必要です。(どうしても2日間連続して来院できない場合、1日通院でも可能な場合がありますのでご相談ください)
放射性ヨウ素のカプセルを服用していただきます。
甲状腺の摂取率測定と甲状腺シンチグラムの撮像を行います。
摂取率測定では、甲状腺に放射性ヨウ素がどのくらい取り込まれているのかを検査し、甲状腺の機能を調べます。
シンチグラムでは、甲状腺の大きさ、形態、放射性ヨウ素の分布状態をみます。
検査時間は15分程度で終了します。(摂取率測定:約2分、シンチグラフィ:約10分)
検査時のお願い
甲状腺が放射性ヨウ素をスムーズに取り込めるようにするため、検査を行う4~7日前からヨウ素を含む食品の制限と、ヨウ素を含む薬品を中止していただきます。また下記項目に該当される方は、検査できない場合があります。診察時に担当医師へご相談ください。
- 妊娠中、妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
- 1ヶ月以内にアイソトープ検査・治療、造影剤を用いた検査をされた方
- 1年以内に子宮卵管造影検査をされた方
アイソトープ検査についてのQ&Aを 「よくあるご質問」 に掲載しています。
テクネ(99mTc)甲状腺検査
テクネシウム(99mTc)も、ヨウ素と同じように甲状腺に取り込まれ、甲状腺の機能を反映します。しかし甲状腺ホルモンには組み込まれず、ゆっくりと排泄されます。この検査にはヨウ素制限は必要ないという利点があります。
検査の目的
- 甲状腺摂取率による甲状腺機能検査
- シンチグラム(画像)による甲状腺疾患の診断
検査の流れ
検査は薬剤を静脈注射して行います。注射10分後に注射部位を確認し、そのあと甲状腺の撮影を5分間行います。甲状腺摂取率は撮影した画像より、専用のソフトを使用して算出します。
放射性ヨウ素(131I)全身検査
甲状腺がん細胞もわずかではありますが、ヨウ素を取り込む機能があります。
その機能を利用して甲状腺がんの遠隔転移を調べるのが、放射性ヨウ素全身検査です。
検査の目的
- 手術後に残っている甲状腺細胞と、がん細胞の転移の有無の確認
- 今後の治療方針の決定
検査の流れ
検査方法には、タイロゲンを使用する方法と、甲状腺ホルモン薬を休薬する休薬法の2つの方法があります。
タイロゲンを使用する方法 | 休薬法 | |
---|---|---|
メ リ ッ ト |
甲状腺ホルモン薬を服用できるので、機能低下症の症状がでない。 |
注射がない分、来院回数が少ない。 |
デ メ リ ッ ト |
注射薬の費用がかかる※。 休薬法に比べ、注射のための2日間の来院が必要となり、費用と手間がかかる。 |
甲状腺ホルモンが不足するため、機能低下の症状が出る。 甲状腺ホルモンの不足により、わずかに残っているがん細胞が刺激される可能性がある。 |
※注射薬の費用は3割負担で6万円程度かかりますが、高額療養費制度の利用や、患者様の年齢によって金額が低くなる可能性があります。
タイロゲンを使用する方法と休薬法による検査の流れの比較
検査時のご注意
タイロゲンを使用する方法・休薬法のどちらの場合でも、2週間前からヨウ素を含む食品の制限をしていただきます。放射性ヨウ素カプセルを服用した後は、下記の生活制限をお守りください。
- 必要以上に出歩かない(2日間)
- 一人で寝る(2日間)無理な場合は、隣の人との距離をおく
- 入浴は最後にする(2日間)
- トイレ使用後は、よく水を流す(2日間)
- よく手を洗い、清潔を心がける(2日間)
- キス、性交、長時間の体の接触は避ける(7日間)
- 必要な世話はよいが、直接触れ合う時間を短くする(2日間)
- 添い寝は避ける(2日間)15分程度の短時間の添い寝であれば可能
- 自分の口に含んだものは食べさせない(7日間)
また下記項目に該当される方は、検査できない場合があります。診察時に担当医師へご相談ください。
- 妊娠中、妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
- 1ヶ月以内にアイソトープ検査・治療、造影剤を用いた検査をされた方
- 1年以内に子宮卵管造影検査をされた方
アイソトープ検査についてのQ&Aを 「よくあるご質問」 に掲載しています。
テクネ(99mTc)MIBI検査
99mTc-MIBIという薬剤を静脈注射して行う、副甲状腺機能亢進症の検査です。 この検査は甲状腺の左右両葉の側面の上下に2対、合計4個ある副甲状腺のどこが機能亢進症の原因となっているのか見つけるために行われます。99mTc-MIBIは副甲状腺の機能が亢進している細胞に長くとどまる性質があるためシンチグラムでは集積が強くなり黒く表示されます。
検査の目的
- 機能亢進症の原因となっている副甲状腺の位置の確認、今後の治療方針の決定
検査の流れ
薬剤注射後、10分後と1時間半後の2回撮影を行います。
1回目(注射10分後)の検査時間は5分程度です。薬剤は甲状腺にはうっすらと集積し、機能が亢進している副甲状腺には多く集積します。
2回目(注射1時間半後)の検査時間は40分程度です。
薬剤の甲状腺への集積は消え副甲状腺のみに集積します。
テクネ(99mTc)MIBI検査ではSPECT検査とCT撮影も行っています。
SPECT検査は身体から放出されているガンマ線を検出し、その分布を断層画像にします。検査は頚部の周りを180度検出器が回転します。この検査を行うことにより、副甲状腺の位置情報を詳しく観察することが可能になります。
SPECT画像と頚部CT画像とを重ね合わせてできるFusion画像の作成も行っており副甲状腺をより正確な位置に表示することが可能です。赤く表示されている場所が副甲状腺の機能が亢進しているところで99mTc-MIBIを取り込んだことを示しています。
その他、当院で行っている検査
ガリウム(67Ga)検査
悪性腫瘍(主に、悪性リンパ腫・甲状腺未分化がん)や炎症性病変の診断
テクネ(99mTc)HMDP検査
主に、骨病変の確認
123I-MIBG検査
主に、髄様がん・褐色細胞腫の確認
塩化タリウム検査
主に、甲状腺分化がんの確認