甲状腺疾患の薬

薬について

甲状腺疾患の薬には、甲状腺ホルモンが低下した時に用いる甲状腺ホルモン薬と、亢進した時に用いる抗甲状腺薬の2種類があります。

甲状腺ホルモン薬

甲状腺では、サイロキシン(Thyroxine:T4)とトリヨウ素サイロニン(Triiodo thyronine:T3)の2種類のホルモンが作られます。
T4は、ヨウ素が4個あり甲状腺でのみ作られます。一方、T3はヨウ素が3個あり、血液中の約20%が甲状腺から分泌され、残りはT4が肝臓や腎臓で代謝されヨウ素が1個外れて変換されます。血液中では、ほとんどサイロキシン結合グロブリンなどと結合しています。結合していない遊離型は非常に微量ですが、この遊離型にホルモンとしての働きがあります。また、その作用はT3がT4よりはるかに強力です。

甲状腺ホルモン薬

■作用について

甲状腺ホルモンの作用は、脳の発達をはじめ器官の成長・発育作用、酸素消費増加による熱産生作用、心血管系に対する作用、脂質・糖質代謝作用などがあります。
現在、化学合成物のT4製剤としてチラーヂンSレボチロキシンナトリウム錠「サンド」、T3製剤としてチロナミンが、また、動物の甲状腺の抽出物でT4とT3両方を含有しているチラーヂン末が販売されています。
これらの甲状腺ホルモン薬は、橋本病、甲状腺手術後およびアイソトープ(放射線ヨウ素)治療後に起こる甲状腺機能低下症の甲状腺ホルモン補充に用いられます。また、下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑えて甲状腺腫瘍の発育阻止を期待する目的※で使われます。

※TSHが実験的に甲状腺細胞の増殖を促進することがわかっており、この作用を利用して腫瘍を小さくします。

■効果について

甲状腺ホルモンとしての効果はT3が担っていますが、T3はT4に比較して血液中のたんぱく質との結合力が弱く、服用後の吸収が速やかで排泄が早い(血中の半減期が短い)ために、内服後に安定した濃度を維持することが難しいという欠点があります。その点、T4は、半減期が長く肝臓や腎臓などで徐々にT3に変換されるため、適切な量を服用することにより生理的な血中濃度が継続的に維持されるので、原則としてT4製剤が用いられます。 T4製剤は半減期が約1週間のため、服用し続けていれば服用時間がずれても血中濃度の変動はほとんどありません。そのため、いつ服用しても、血中濃度の時間帯による効果の違いもあまりありません。なお、最近の研究では、食後よりも空腹時や寝る前の方が吸収が少しよいことがわかっています。
服用回数は通常、内容量にかかわらず1日1回の服用ですが、服用により心悸亢進(動悸など)がある場合や、心臓疾患を合併している場合、高齢者などは分けて服用することもあります。
また、T4製剤は人間の甲状腺ホルモンを化学的に合成したものなので副作用はないはずですが、ごくまれに、成分、賦形剤、着色料などによりアレルギーを起こすことがあります。

抗甲状腺薬

現在、抗甲状腺薬には、チアマゾール(MMI:メルカゾール)とプロピルチオウラシル(PTU:チウラジ-ル/プロパジール)の2種類があります。
抗甲状腺薬は、消化管から吸収されて血液中に移行し、甲状腺に取り込まれ、甲状腺ホルモンの生合成を抑制する作用があります。
PTUは、肝臓や腎臓などの末梢臓器にある酵素活性を阻害することで、T4からT3への変換を抑制し、血中のT3の濃度をより低下させると報告されています。ただし、この報告は大量のPTUを内服した場合です。一方、MMIは、PTUの10倍以上の効果があるため、MMIが第1選択薬として処方されています。
近い将来妊娠を希望される場合は、PTUは母乳に出ないため、初めに使われます。

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