![]() 甲状腺は、心臓などと同じように臓器そのものの名前であり、病名とは違います。心臓に狭心症や心筋梗塞などの病気が起こるように、甲状腺にも特有な病気が起こります。しかし、甲状腺に起こる病気はひとつではないため、「甲状腺が悪い」と言われたとしても、それだけでは何の病気かはわかりません。
甲状腺の病気には、甲状腺の「働き」の変化と「形」の変化という2つの特徴があります。病気によってその両方の変化が現れたり、あるいはどちらか一方だけが現れたりします。 ■甲状腺の「働き」の変化甲状腺ホルモンをつくる働きが異常を起こし、甲状腺ホルモンが過剰になったり不足したりするもので「甲状腺機能の異常」といいます。【甲状腺機能亢進症】
甲状腺ホルモンの合成が多すぎると、全身の代謝が過度に高まります。
【甲状腺機能低下症】
甲状腺ホルモンを作る働きが悪くなると、全身の代謝が低下します。
■甲状腺の「形」の変化甲状腺がはれたりしこりができたりして形態的に変化するものです。このはれを「甲状腺腫」といいます。【びまん性甲状腺腫】
甲状腺全体がそのままの形で大きくなったもの
【結節性甲状腺腫】
甲状腺の一部にしこりができるもの
各病気については、それぞれの項目で詳しくご説明します。なお、何か疑問点がありましたら医師に相談されるか、医療相談室(地下1階)をご利用ください。また詳しい解説や、日常生活における注意などについて説明した小冊子や書籍もご用意しています。 ■どれくらいの確率で遺伝するのかバセドウ病、橋本病、ある種の甲状腺腫瘍は、ある程度遺伝と関係があるといわれています。「親がバセドウ病や橋本病の場合、子どもが甲状腺の病気を発病する確率は何パーセントくらいなのか」という質問がよくありますが、この点についてはまだはっきりした答えがありません。まったく同じ遺伝子をもつ一卵性双生児でも、2人ともバセドウ病になるのはだいたい35%程度といわれています。 このように、甲状腺の病気は遺伝だけで起こるわけではありません。しかし遺伝以外に何が原因なのかはわかっていません。ただし、親と子どもは遺伝子が完全に同じではないので、親子ともバセドウ病になる確率は一卵性双生児に比べて低いことは確かです。 また、遺伝しているとしても、男の子の方が発病しにくい病気です。 ■発病は予知できるのか確実に予知する方法はいまのところありません。しかしバセドウ病や橋本病は、発病する前に甲状腺がはれてくることが多いので、これがひとつの目安になります。このはれがある人は、家系内にバセドウ病や橋本病の患者様がいる場合がよくあります。こうした場合はほかの人より発病することが多いため、半年か1年に1度くらいは診察を受けられた方が安心です。■いつ頃から調べたらよいか遺伝子に異常があった場合、生後すぐに発病する病気もありますが、発病しないものもあるなどさまざまです。甲状腺の病気が発病するのは生まれてからかなり経った後のことが多く、幼児期や小児期の発病はまれです。バセドウ病の患者様のうち、15歳未満の子どもは3%にすぎません。したがって、小さいうちはあまり神経質にならなくても大丈夫です。ご心配ならば、小学校入学頃に1度お子様をお連れください。甲状腺がはれていても、あまり小さいうちは症状がなければ検査は必要ないでしょう。あとは年1回くらい見ていればまず安心です。なお、子どもの発病が先で、あとから親や祖父母が発病することもあります。 ■甲状腺の病気はこわくない「こわくない」というのは、専門家による診察を受け、医師の指示通りにするという条件つきです。遺伝するのではないかと心配するよりは、定期的に検査を受けて、その都度確かめる方が合理的です。高血圧症や糖尿病も遺伝が関係する病気といわれていますが、甲状腺の病気はこれらの病気より治療が容易です。治るまでに時間のかかることはあっても、定期的に通っていれば普段と変わらずに生活できますし、将来ほかの臓器に悪い影響が出てくることもありません。 ■妊娠・出産について母親の病気がきちんとコントロールされていれば、普通の妊娠や出産と同じ注意で大丈夫です。病気の最中に妊娠し、出産したからといって、病気が遺伝しやすくなるわけではありません。時には、生まれて間もなくバセドウ病の症状が出る子どももいますが、これはあくまでも一時的なものであり、遺伝とは違います。 いまのところ、遺伝に関してわかっていることはこの程度です。しかし医学は日々進歩していますので、新たなことがわかりましたら、その都度みなさまにお知らせします。ここに記載したものと違った情報に出会われた場合は、心配する前にまずご相談ください。 |
















