診療技術部 部長 ごあいさつ
私ども診療技術部は薬剤室、放射線検査室、臨床検査室、臨床栄養室の4部署で構成されております。各部門で適切な情報提供、専門性・迅速性の向上、安全性の確保、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を心掛けております。また、最新の医療資材や機器を導入し、診療部、看護部と連携し患者様にできるだけ負担の少ない検査や治療ができるような体制を整えております。
診療技術部の各々の職員が、甲状腺を病む方々のためにそれぞれの部署で切磋琢磨し、技術の向上を図っております。
診療技術部部長 北川 亘
診療技術部では、2017年の伊藤病院創立80周年の節目に、2つの書籍「伊藤病院ではこう診る!甲状腺疾患
超音波アトラス」「安全!便利!おいしい!甲状腺専門・伊藤病院がおくるヨウ素制限食レシピ」を発刊しました。
「甲状腺疾患
超音波アトラス」は、専門病院で甲状腺超音波検査を担当する技師だからこそ得られた経験的な知識やコツを、当院に限らず広く医療現場でご活用いただきたいとの想いで刊行しました。当院の臨床検査技師と放射線技師全員で執筆し、甲状腺疾患に関連する他の検査情報も掲載しております。
「ヨウ素制限食レシピ」は、アイソトープ検査や治療を受けるためにヨウ素制限が必要な患者様に向けて発刊しました。ヨウ素は食材に限らず調味料や飲み物など幅広く含まれており、食事の献立に困るという患者様やご家族のお悩みがありました。そのため、ヨウ素制限中でも美味しく栄養バランスのよい食事を楽しんでいただけるよう、工夫をこらしたレシピを作成しました。
伊藤病院ではこう診る!
甲状腺疾患超音波アトラス
監修:伊藤公一
編集:北川亘
定価:5,280円(税込)
発行:全日本病院出版会
安全!便利!おいしい!
甲状腺専門・伊藤病院がおくる
ヨウ素制限食レシピ
監修:伊藤公一
編集:北川亘
定価:1,760円(税込)
発行:全日本病院出版会
診療技術部 各部署のご紹介
薬剤室
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1.調剤業務
- ・外来・入院調剤
- ・注射薬調剤
- ・抗がん剤調製
- ・院内製剤
調剤業務では、医師の処方内容を薬学的知見から確認(処方鑑査)を行い、必要に応じて医師に問い合わせ(疑義照会)を行っています。その後、処方箋に基づいてお薬を取り揃え、別の薬剤師が確認(監査)し、患者様にお薬を交付しています。当院ではお薬の取り間違いを防ぐために、調剤過誤防止システムを導入しています。
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2.病棟薬剤業務
- ・入院患者様の服薬指導
- ・手術前外来業務
病棟に薬剤師が常駐し、入院患者様へ適切な薬物療法が行われ、安心してお薬を使用していただけるよう業務を行っています。まず、入院された患者様と面談をして、持参されたお薬、服薬の状況、アレルギー・副作用歴等を確認します。お薬を使用する前に投与量・投与速度や注射薬と内服薬との組み合わせに問題がないかを確認しています。
お薬を使用する際には患者様に服薬指導を行い、お薬を使用した後には、効果が出ているか、副作用が出ていないかを確認し、必要に応じて医師に処方提案をしています。
退院時には退院後の生活に合わせたお薬の使用ができるよう指導を行います。 -
3.医薬品情報管理業務
医薬品情報管理室は、医薬品に関する情報を取り扱う部屋です。
主に、薬に関する情報を収集・整理・管理し、必要な時に医療スタッフおよび患者様に提供しています。
例えば、厚生労働省から発行される緊急安全性情報(イエローレター)、医薬品・医療機器等安全性情報、日本製薬団体連合会から発行される医薬品安全対策情報等の医薬品情報、及び薬事審議委員会で決定した新規採用医薬品等の情報をDIニュースとして毎月発行しています。また、患者様から電話による薬の相互作用等の問い合わせに対応しています。
放射線検査室
放射線検査室では、主にX線検査・CT・骨密度検査があり、その他にアイソトープ設備も有しています。アイソトープは核医学とも呼ばれており、放射性物質を含む薬を用いて検査や治療を行います。この検査・治療は特別な設備が必要であり、特に治療を実施できる施設は限られます。当院は外来だけでなく入院設備を7床有しているため、入院でのアイソトープ治療にも対応ができます。
アイソトープ検査・治療の歴史は長く、1950年に初めて日本にアイソトープが輸入され、その後、1955年から当院でのアイソトープ診療が始まり、60年以上の歴史があります。当院は甲状腺疾患専門病院であるため、甲状腺に特化したアイソトープ検査・治療を行なっています。
甲状腺の細胞はヨウ素を原料としてホルモンを作っているため、ヨウ素を取り込む性質があります。その性質を利用し、検査・治療を行っています。前処置として指定された日数の間、ヨウ素を含んだ食物を摂取しないように生活し、抗甲状腺薬の服用を中止するなどの制限が必要となっています。
当院は年間、甲状腺アイソトープ検査を約1,600件、治療は約1,100件行っており、多くの診療実績があります。患者様にとって利便性の高い選択肢を提供でき、負担が少しでも軽減できるよう努めてまいります。
放射線機器一覧
臨床検査室
伊藤病院臨床検査室はISO15189:2012を認定取得しております。
ISO15189は臨床検査室に特化した国際規格で、この認定を受けた検査室の報告する検査結果は、第三者機関の評価を受け国際的にも通用するものとなります。本規格では認定を受ける全ての項目の手順を文書化し、国際基準に則り検査を行うことが求められます。2013年11月に初回認定を受け現在も更新を続け、手順書・環境・技術など常に改善を行っております。今後も、安心で正確な検査結果を常に提供できる臨床検査室を目指し、品質管理と技術管理の更なる改善に努めてまいります。
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1.外来採血
1階検査21採血室では外来採血業務を行っており、12台の採血台を設置しています。国家資格を有する臨床検査技師が日本臨床検査標準協議会(JCCLS)刊行の「標準採血法ガイドライン」を遵守し、安全で正確な採血法を実施しております。
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2.検体検査
- (ア)免疫血清検査
- (イ)生化学検査
- (ウ)血液検査
- (エ)一般検査
- (オ)輸血関連検査
- (カ)細菌検査
地下1階臨床検査室では様々な検体検査を行っております。院内で検査を行うほとんどの項目は採血後1時間以内に検査結果を報告できるよう、大型の検査機器を多数設置し測定しております。(免疫発光測定装置:7台、ディスクリート方式臨床化学自動分析装置:2台、血球計数装置:2台)
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3.生理機能検査
- (ア)超音波(エコー)検査(甲状腺・心臓・腹部)
- (イ)心電図検査・ホルター心電図検査
- (ウ)呼吸機能検査
地下1階検査22では生理機能検査を行っており、超音波装置が11台設置されています。主に甲状腺の超音波検査を行っておりますが、患者様の病状によっては心臓や腹部の超音波検査も行っています。また、心電図検査や呼吸機能検査も実施しております。
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4.病理検査
- (ア)細胞診検査
- (イ)組織診断のための標本作製業務
超音波(エコー)下穿刺吸引細胞診の介助、標本の作成を行っております。作成された標本は細胞検査士の資格を有する臨床検査技師がスクリーニング検査を行っております。また、手術により摘出された組織の標本作成も行い、病理医の診断補助を行っています。
臨床栄養室
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1.食事管理
大量調理施設マニュアルに沿って、万全な衛生管理体制を目指しています。病院の食事は、患者様の治療の一環としてとても大切な役割を果たしています。安全安心で美味しい食事の配膳に努めています。また、定期的に嗜好調査を行い、季節感があり嗜好にあった美味しいお食事を配膳できるよう努めています。
(ア)一般食
常食・軟食(全粥食・5分粥食)・流動食
常食の患者様は、朝食のみ「御飯メニュー」
「パンメニュー」のいずれかをお選びいただけます。
写真は「パンメニュー」の一例です。
(食具は一部変更があります)(イ)治療食
特別治療食(糖尿病食・肥満食・脂質異常症食・減塩食など、生活習慣病の予防・治療目的の食事)
その他治療食(ヨウ素制限食・脂肪制限食・生もの禁食など、治療を行う上で必要な制限の食事)(ウ)行事食
季節の献立(月に1度、旬の食材を豊富に使用し季節を感じる食事をご用意しています。また、月により年中行事にあった食事の提供も行っています。)
創立記念御膳(創立記念日に合わせ、特別献立をご用意しています。) -
2.栄養管理(栄養サポートチーム)
入院患者様に最善の栄養療法を提供するために、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床検査技師が職種を越えて構成する医療チームです。管理栄養士は、食事量の管理・栄養状態の観察・食事形態の変更を担っています。
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3.栄養指導
(ア)入院・外来栄養指導
生活習慣病やがん患者様の栄養管理、低栄養、嚥下困難などの食事の指導を行っています。生活習慣病の栄養指導では、食生活の改善や生活習慣の見直し計画を立てていきます。(イ)食事相談
なんとなく食欲がない・つい食事を摂り過ぎてしまう等のお食事に関するご相談をお受けします。